第2章 ❇︎1月 こたつ【おそ松さん 長男】
こちらを見ながらぎゅっと目を瞑る彼女を軽々と抱き上げると、ようやく怪しくなったようだ。
俺の名を呼んで何してるのかと聞いてくるを無視して思い切り抱きしめてやると、途端に顔を真っ赤にして慌てだした。
「ちょ、何?へ?」
「いやぁ、相変わらずチョロいねは。チョロ松を名乗るといいよ」
「それあんたの弟でしょ!!まさか騙したの?!」
はっはっはと笑えば彼女は怒ったように目を開けようとしたからその目を塞いでやった。
まだ目を開けられると困るんだよ。
もがくの耳元でそう囁くとすぐに彼女は体を震わせて力が抜ける。
俺が耳が弱いことを知って攻めていることをこいつも知っているから、弱々しく俺の胸を叩いて抗議してきた。
ほんと、こういうとこがあるからこの女は堪らない。
目を塞いだまま彼女を抱いてこたつに潜り込む。
体勢が横になったことと突然身の回りが暖かくなったことに驚きの声を上げるの目から手を外すと、ポカンとさせた瞳に自分が映った。
「変な顔」
「うるさい、なんで普通にこたつなの?」
「え〜普通じゃないよ、俺がいるじゃん」
ぴっとりと距離を埋めるように抱きしめる。
「おそ松がいると何が変わるの?」
訝しげに訪ねてくる彼女を腕の中に閉じ込めて、その甘い香りを堪能した。
くすぐったそうに身をよじる彼女も次第に大人しくなってきて。
「こうして抱きしめることで普通にこたつ入ってるよりあったかいだろ?」
「………ばぁか」
暑いくらいだよ。
そう言って抱き返してくれた彼女の髪に唇を寄せた。