第8章 ❇︎3月 「ごめんね 好きだよ」【スタミュ 鳳】
「勝手なことしたって分かってる、だからこれから君に償うよ」
「一生かけて?」
「君が許してくれないなら」
冗談半分で言った言葉に、彼は私の手の甲に口付けながら答える。
さながらミュージカル俳優のような彼の仕草に、そういえばこの人はミュージカルスターだと再認識して。
「じゃあ一生許せないかな」
「それは困ったね…いや、そんな事はないか。これからは君とずっと一緒だってことだからね」
ここが空港だということも彼にとっては関係ないことのようだ。
視線を集めることが彼にとっては嬉しいことだから、むしろ少し楽しそう。
心なしか、今までの樹より数段楽しそうに見える。
だから私も自然と笑えた。
「これからも、俺はきっと勝手なことをすると思う。その度に君を泣かせるかもしれない。それでも、君に離れてほしくないから…俺はこの言葉で君を縛ろうとするのさ。
ごめんね……好きだよ、」