第22章 赤葦と星空
今週末は、流星群なんだ。
それを聞いた彼女は、にこにこしながら 行く行く!と目を輝かせた。
あのときも。
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「星をみるのは深夜から」
これは 京くんの口ぐせだった。なんでも 昔から 星に興味があったらしく、ちょこちょこ 星がよく見える場所を探しては、観測していたみたい。
わたしにとっては 流星群も流れ星も、アニメやドラマで見たことのあるくらいで、そんな簡単に星は流れない、なんておもってた。
でも京くん曰く 珍しいことではないようで、こうやって タイミングが合うと よく連れ出してくれる。
「 すいれん、寒くない?」
『うん、へいき』
日付を越えた頃に出発して くるまを走らせている。深夜の街はしんとしているのが、くるまのガラス越しにもよくわかった。こんなに寒いなか、歩いてるひとは そうそう居なくて、すれ違うのはくるまばかり。
『きょうはどこまで行くの?』
「んー今からでしょ、どうしようかな」
京くんには 行く場所の計画があるらしく、
「お手軽コース」「そこそこコース」「遠出コース」と続けた。(わたしには どこが どうなのか さっぱりなので ふんふんと聞くだけ)
暗い車内で、寒そうな外を見ながら 京くんの手をそっと握った。(もちろん ゆるやかな道を走っているのを確認済)
京くんは、なにも言わずに 手のちからを強めてくれた。
京くんの手 あったかい。