• テキストサイズ

赤と黒のそのあと【HQ】【短編】【裏】

第20章 赤葦の月1の日のやさしさ




「痛い?」
すいれんの下腹部を さすりながら聞く。

『いたい…』
「さっき薬のんだから、もうすこしだよ」
『うん』

なにかやる家事はないかと聞いてみても、俺のひざのうえで しんなりしてるすいれんの後頭部から 力のない声しか戻ってこない。

『お昼は、なんでも食べれる…』
うん、生理でも 食欲はあるもんね。(笑)

『洗濯物 干したい気持ちはたくさんだけれど、動きたくない』
「 すいれんは やらなくていいから」
『けいくん…、ありがとね』
「いーえ」
『でも、近くにいてほしい、離れないで』
「うん。いいよ」

「じゃあ、 すいれんの薬がきいてくるまで、ベッドでごろんしてようか」
『だっこー』
「はいはい」

ここぞとばかりに甘えてくるな、こいつ。
でも、普段がんばりすぎてるくらいの すいれんだから、月に一度くらいは、とことん甘やかしても、いいかな。


「はい、到着」
『ぽすん』
「ぽすーん」
『京くんもおとなり ごろーんして』
「居間の暖房切ったらねー」
『はーやーくー』
「はいはい」
『10秒!』
「それは無理」


「ただいま」
『おかえりすき』
「またすぐそうやって言う」
『すーき」
「ほら、こっちおいで。うん、仰向けになって。」

すいれんのおなかをぽんぽんとあやすように軽く叩くと、気持ち良さそうで、安心しきった声が聞こえた。

『けいくん、わたしに甘すぎたよ』
「そう? すいれんはイヤ?」
『んーん。うれしい』

「生理中のときくらい、甘えていいから」
『へへへ』
「いい仕事するでしょ?」
『毎月ありがとうございます』
「評価は?」
『レビューの星は5つです』
「コメントは?」
『もっとすきになりました。』
「……そりゃどうも。」

薬の効き目が出てきたかな、 すいれんの目がきらきらしてきた。よかった。彼女のつらそうな顔を見てるのは、やっぱり嫌だし。

すいれんのおなかを撫でると、「京くんの手は魔法の手〜〜」と聞こえる。理由を聞いたら、にっこりとして、痛くなくなるから、と言ってた。

ほんと、かわいいこと言う。
すいれんを横から抱きしめて、可愛いねとささやくと、 すいれんの耳と頬が上気してるのがわかった。

/ 67ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp