第19章 赤葦の愛情【裏】
薄膜越しに出された液体を すいれんは、おもしろそうに眺めてた。
そんなの見なくてもいいのに、と言ったら、 すいれんは、小さく笑っていた。
▽
スーパーやさしい京くんは、行為が終わったあと、わたしのくだらない話を聞いてくれる。
ずっと わたしを見つめて、微笑んで、なでなでしてくれる。
『京くん、あのね』
「ん?」
『わたし、京くんのスーパーやさしいところ、すき』
きもちよくしてくれるところ、
楽しませるくらい いじわるなところ、
キスいっぱいくれるところ、
抱きしめてくれるところ、
かわいいね、って言ってくれるところ、
リードしてくれるところ。
(全部言ったら、照れてる京くんが見れました。)
「スーパーって…」
『いや、ハイパーかもしれない…』
「捕まえやすくなるボールじゃないんだから」
『京くんつかまえたい』
「逃げてやる」
させるか!
ベッドから逃げようとした彼に抱きついて捕獲した。
「…優しいかな」
『そうだよ』
「…べつに、俺がしたいこと、 すいれんにしてるだけだけど」
京くんは、まだなにも着てないわたしの胸まで ずりずりと下がっていくと、谷間に顔を埋めた。
「はぁーーー。 すいれんのにおいがする」
『やだ はずかしい』
「いいにおいってことだよ」
『きゃ、なめないでーっ』
「汗、かいてるよ、きもちよかったんだね」
『うそ、!』
「ウソ」
『えええぇ!?』
「でも 気持ちよかったのは本当だもんね?」
『……うん』
「いい子」
そのあと、
冗談も交えつつ、明日のごはんや、ショッピングや映画の話をして、ランチのお店を考えてたところまで、覚えてる。
「おやすみ、 すいれん」
京くんのテノールがきもちよく、ゆめのなかで響いていた。
(暗がりのなか 彼女の耳もとで ささやいた。)