第11章 赤葦とカフェ席
京くんの やさしいところ いち。
席をあらかじめ確保してから、注文するタイプのお店にいたときの京くん。
「 席はこことここね。すいれん、ここで待ってて」
「ん、わたし ケーキまだ 決まってないから、京くん 居て?京くん あれのホットだったよね?」
「うんそう、ならお願い。それと、はい」
そう言って、京くんは自分のお財布をわたしの手にぽんと乗せた。(お揃いのブランドなのです 本革のイタリア製の)
「え」
「それで払ってね」
「あ… はい」
いってらっしゃい、と 京くんにひらひら手を振られて、 背中を押されました。
列がカウンターに近づいていくとともに、だんだん近づいてくるショーケースをじっと見つめる。
モンブランにしようか、タルトにしようか、それともショートケーキ?迷う。
京くんに ひとつ 食べさせて もらうのもアリかな。
そう提案したメッセージを送って、京くんの様子を遠くから伺うと、見知らぬ女性ふたりと話をしていた。
女性は ぺこりとお辞儀をしていた。
そこまで見て、レジのお姉さんにお次の方どうぞと呼ばれたので、2人分のドリンクと、ベリーのタルトと、とりあえず京くんのために(これ重要)、モンブランを注文しておいた。
結局、
お金は、普段 京くんにはごはん代を払っていただいているので、 わたしのお財布から出しておいた。(いつもありがとう、京くん)