第6章 赤葦の1週間分
「んっ……」
目をあけると すいれんがすやすやと寝ていた。
あれ、俺なんでここにいるんだっけ、合宿の帰りに すいれんに会って、マッサージしてくれると言って、そんで…。
「あれ………けいくん………。けいくん……」
寝ぼけまなこの状態で こっちにすり寄ってくる すいれんが可愛らしい。夏場でも、ひとと触れ合うのは、あたたかみを感じて分け合えるのは、気持ちがいい。
「なに、 すいれん」
「けいくん…、あのね、」
「うん」
「寂しかったよ、」
「そっか、」
俺も、と すいれんを抱きしめながら言った。
チュ…チュ…。
角度を変えてキスを何回もした。 すいれんの唇のやわらかさ、ときどき漏れる声や吐息も愛しい。ああ、帰ってきたなと、感じる。
「けいくん、おかえりなさい」
ただいま。バレーばかりしてたけど、毎日、 すいれんのことを考えてた。
いろんな顔、思い浮かべてた。笑った顔、俺がけがをしたときに見せる怒った顔、泣いてぐしゃぐしゃの顔。からかいすぎて拗ねた顔。
「 すいれん、一週間ぶん、愛させて」
「ふふ。 かしこまりました」
彼女が、花が開くような、見るものを良い方向に導く笑顔を俺に見せたあと、首筋にキスを降らせた。