第6章 赤葦の1週間分
い、ま、から、帰る。
そう すいれんにメッセージを送るやいなや、かわいらしいスタンプとともに了解の意図が送られてきた。思わず頬が緩む。
すいれんはこの期間に陸上の1日練習(×3日間)があると言っていたから、会ったら 日焼けのことを言われそうだ。
腕の日焼けを比べさせられて、「わたしのほうが黒い……」と落胆されそう。
「あかーしー乗るぞー」
「はい」
バスに乗って、小刻みに揺られていたら、満腹で満足で、いつのまにか寝ていた。
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「あ!」
まだぼうっとする目をこすって帰路につくと、 すいれんの声が背後からする。
たったったったっとリズミカルな足音が大きくなったかと思うと、疲れた身体に鞭をうつかのように、
「おっかえり けいくん!」
背後からタックル。(からのホールド)
「……ただいま」
「えへへ、偶然」
「そうだね」
「あー、けいくんのにおいだー」
いつもなら そんなこと言われるのが気まずくて( 恥ずかしくて) すいれんをべりっと剥がすけど、今日はそんな元気もない。
やはり、丸1週間バレーバレーバレーの日々はさすがに こたえる。
精神的にも、身体的にも。いや、練習は好きだけど。
それに、背中に、やわらかい感触があって、なんていうか、1週間我慢してきた分、溜まってるわけで……。