貴方のハートを狙い撃ち! 【サイコパス ラブコメ】
第1章 プロローグ
そんなこんなで迎えた、合格発表日。私が受験した高校は、勿論金糸雀高校。狡噛先輩と同じ高校だ。正直、合格する可能性としては五分五分といったところ。進路面談で金高の名前を出したとき、先生は一瞬戸惑っていた。でも、毎日の私の努力を見て、温かく背中を押してくれた。両親も、最初は無理だと言い切っていたけど、最終的には私の思うように、悔いの残らないようにしなさいと、受験を許してくれた。あと、非常にどうでもいいけど、私との特訓で縢ちゃんの学力も向上したらしく、先生からも金高の受験を勧められそのまま受験を決めたらしい。それを聞いて、縢ちゃんの成績がここまで上がったのは、私のお蔭だと思った私は、縢ちゃんに「縢ちゃんの成績が上がったのは私のお蔭だから、何か奢(おご)って」って言ってみれば、「んじゃまずは今までの授業料払って」と言われてしまった。それを言われれば、何も言えないのに……!縢ちゃんのイジワル!!でも、大人な私はこのぐらい寛大に受け流す。だから、今私は、私の1番の恩師である縢ちゃんと一緒に、合格発表の掲示板の列に並んでいる。当然、ドキドキが止まらない。
「204…!俺、合格!!」
縢ちゃんは、真っ先に自分の番号を見つけて、喜んでいた。
「え……っと……。」
私は、人でもみくちゃにされて、なかなか見えない。手元の受験票を見て、一生懸命に自分の番号を探す。えっと……、178……、178……あ、あった……。見間違いじゃない!!
「あった!!178!!私も合格!待ってろよラブラブライフぅぅぅぅぅぅぅ!!!!ひゃっほぉぉぉぉ!!!!!」
喜びの余り叫んだばかりに、周囲からは痛々しい目で見られてしまった。うぅ……しまった……。これじゃあ悪目立ちだよ……。焦って縢ちゃんを見たけど、全力で私から目を逸らして、他人のフリをしている。
「ちょっと、縢ちゃん……、なんで他人のフリするの……!」
話しかけても、縢ちゃんは無視。それどころか、さっさとこの場を離れてしまった。この薄情者!あ、でも、ここ金高なんだから、近くに狡噛先輩いるかも……!キョロキョロしてみたけど、とにかくすごい人で、何も見えなかった。このまま合格発表会場にいるのも気が引けて、既に合格者手続きの列に並んでいる縢ちゃんの後を追った。