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終わりのセラフ 短編集

第2章 2.振り向かせるから【百夜ミカエラ】



「ミカ~、暇なんだけど」
「いや、知らないよ」

 京都の地下、サングィネム。ミカと一緒に吸血鬼になった私は絶賛暇nowだ。

 この間の新宿戦で優ちゃんが人間どもに利用されてることが分かった。さっさと人間どもから優ちゃんを取り戻して3人でどこかで…

「早く、優ちゃんを…」

 隣で呟いてるミカ。いっつも優ちゃん、優ちゃん。て、全然私に構ってくれない。私にとっても優ちゃんは大事な家族だけど、最近のミカは優ちゃんしか見えてない。

「何で、私を見てくれないかな」

 ぼそりと言った。ずっと前から好きなのに、4年前からミカは優ちゃんばっかり。

「何か言った?」
「別に」
「拗ねてるでしょ」
「拗ねてません」
「うそ」
「煩い」

 ぷくっとほっぺたを膨らませると両側を押される。ブッと音を立てて口から空気が漏れる。クククとミカが笑う。

「ちょっと!」
「ハハハ…ふっ・・・ごめ・・・」

 絶対、悪いだなんて思ってないぞコイツ。

「もう! ミカってば!」

 私が拗ねれば拗ねるほど、ミカは笑っててくれる。それならそれで良いかなって。

「あーも、ハイハイ。ごめんね」
「い・や・だ・ね」
「ほらまた拗ねた」
「違いますぅ~」



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