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終わりのセラフ 短編集

第1章 1.彼の方が上手【柊深夜】





「ねぇ、ねぇってば~」

 12月25日。世間一般で言うクリスマス。そんな聖なる日に「プレゼントだ」と若干笑いながら渡された大量の書類。期限は3日後。ふざけんなよ、兄さん。とか思いながら、机に向かい早4時間。積み上がっている紙の束は本当に減っているのだろうか。

 少々、と言うか完全に自暴自棄になって徹夜してでも今日中に終わらせてやる。と意気込んだのが、30分前。この男-柊深夜-が私の執務室に遊びに(邪魔しに)来たのが10分程前。

 大事な話かと思えばかなりくだらない話だった。ので無視して書類と向き合ってると机の周りをうろうろと歩き出した。それも取り合わずにいると今度は、髪の毛を弄り出した。「あっ、枝毛はっけ~ん」と時折聞こえるが、それもスルー。いちいち髪の毛までは気が回らないっての。

「そろそろ僕に構ってくれても良いんじゃないの? せっかくのクリスマスなんだからさ」

 頬っぺたを人指し指でつんつんされる。そろそろうざったい。

「クリスマスだって仕事はあります~。深夜は無いわけ? 暮人兄さんに渡されなかった?」

 私1人だけに、プレゼントという名の仕事が来たなんて理不尽すぎるでしょうが。

「僕も貰ったよ? でも今、仕事したくない病なんだよね~」

 アホか。

「帰れ」
「え~。クリスマスなんだよ? 遊びたくないの?」
「ないね」
「またまたぁ~。本当は遊びたいんでしょ? 僕には隠し事はムリだからね。諦めて本心言っちゃいなよ」

 ……途轍もなくうざい。

「あ~。もう分かった。分かった。もうどうすれば満足するの」

 もう、今帰らせるのは諦めよう。で、深夜に構ってから、再スタートしよう。うん。そうしよう。



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