第10章 僕達の乱舞
「…っ……君は…」
彼女だった。
僕を庇うように屈んだ彼女の頬を、振り下ろされた刀先が擦る。
彼女の真っ白な頬に真紅の血が幾筋も滴り
「どうして君が此処に……?」
動揺を隠せないままに聞いた僕は……自分の目を疑った。
彼女の瞳が金色に輝き、頬に着いた筈の一文字傷が塞がっていく。
そして何事も無かったように傷は消え去り、彼女の頬には血が流れた痕跡だけが残っていた。
「……………………。」
信じられない現象を目にして言葉も出ない僕の顔に金色の瞳が向けられ、彼女は申し訳無さそうに微笑むと直ぐに風間へと振り返り強い口調で言い放った。
「この人を殺さないで。」
風間は次の攻撃に移りもせず立ち尽くし、驚愕しつつも歓喜に震えたような声で彼女に問い掛ける。
「お前……我が同胞か?」