• テキストサイズ

薄桜鬼~私を見つけて~

第1章 僕達の舞台


「………まさか女だったとはな。」

土方さんが少し戸惑った様子で呟く。

捕縛したそいつを屯所に連れ帰り、素性を探る為に着ていた怪しげな黒装束を剥いで見るとまだ成熟仕切っていない初な女体が現れた。

僕達は息を飲み慌てて男物の浴衣を着せたけど、それでも女だからといって僕達に襲い掛かって来た敵である以上逃がす訳にはいかない。

何より彼女には聞かせて貰わなきゃいけない話がある。

彼女を土蔵に連れて行き、両手首を荒縄で縛り上げた。

その荒縄の先は天井の梁から下がった滑車に繋がっていて、彼女の身体を簡単に吊り上げられるようになっている。

意識を取り戻した彼女には、舌を噛ませない為に猿轡も咬ませてあった。

猿轡のせいなのか、彼女はふうふうと荒い呼吸を繰り返しながら目の前に立つ僕達五人を見上げていた。

だけど何故かその目には敵意が無く、何処と無く嬉しそうですらあったんだ。


「なあ……やっぱり女の子なんだしさ…
 縛り上げるのは止めた方がいいんじゃねえかな?」

平助が申し訳無さそうに皆に問い掛けたけど

「甘いぞ、平助。
 さっきのこいつの戦い方を見ただろう?
 動きを封じておかねば何を仕出かすか分からん。」

一君の容赦無い言葉がその場の緊張感を益々強くした。


身の丈は五尺三寸程だろうか。

平助とほぼ同じだけれど、覆面で隠されていた髪は胸元まであり、肌の白さや華奢な体躯は明らかに女の子である事を物語っている。

それ以上にその可愛らしい容貌が僕達の目を引いた。

だからこそ僕は怖いと思ったんだ。

だって彼女は捕まえて着ている物を剥ぎ取るまで、女の子だとは気付かない程の戦闘能力を持っている。
/ 70ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp