第8章 藤堂平助の渾沌
背筋をぞわぞわとした感覚が這い回り、迂闊にもごくりと喉を鳴らしてしまった俺の姿を総司は見逃さなかった。
「ねえ……平助も手伝ってよ。」
「……………え?」
「此方においでよ。」
「俺はっ……いい。」
こんな場面なのに何故か俺は卑屈な笑顔を浮かべてしまう。
そんな俺を総司が簡単に赦してくれる筈がなかった。
「股間をそんなに膨らませて何言ってるのさ。
ほら……この娘に触れたいでしょ?」
総司の言う通り、俺の身体は見事なまでに反応していた。
駄目だと思っているのに、下半身に集中するむず痒いような感覚をもう自分では制御出来ない。
助けを求めるように一君の顔を見てみる。
「来い。……平助。」
俺の目を見据えて呟いた一君の一言で、俺の中の何かが弾けた。
甘い蜜に吸い寄せられる蝶のように、俺はふらふらと女に近付く。
いや……そんなんじゃない。
今の俺は灯りを求めて炎の中に飛び込み、自らの身を焦がす蛾と同じだ。
女の真横に腰を抜かしたようにがくんと膝を付いた俺を見て
「良かったね。
君を可愛がってくれる男がもう一人来てくれたよ。」
まるで幼子を慰めるかの如く、総司が女に語り掛けた。
総司の物を口に含み、厭らしい音を発てながら吸い上げ舌を使う女の視線が俺に向けられる。
軽蔑される事を覚悟していたけれど、女の目は慈愛を含んだようにとても優しかった。
「本当に…………良いのか?」
俺は恐る恐る声を掛ける。
その問いの答えなのか、女の右手が俺の股間に伸ばされ、まるで牡茎の形を探るみたいに指や掌を駆使して袴の上から擦り出す。
衣擦れの音を発てながら繰り返されるその刺激に俺の腰がびくんと跳ねてしまう。
……もう、止まれねえ。