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(R18) お嫁さんになりたい!(HQ)

第1章 お嫁さんになりたい!



 おうちょっと面貸せや。

 赤葦先輩の「顔を貸す」とは、つまり、そういうことだった。俺がいた世界じゃ当たり前の挨拶。ただ今回はワケが違う。

 薄暗い体育倉庫。
 相対するのは、バレー部副主将にして正セッターの赤葦先輩だ。

 喧嘩、ではないよな。たぶん。

 赤葦先輩は頭がいい。
 全国区の強豪校で暴力沙汰はマズいし、大事な身体をくだらない喧嘩になんて使わない。と思う。

 じゃあ、何のために。

 その疑問の答えを俺が知るのは、この、直後のことだった。


「お前、木兎さんに惚れてるね」


 語尾に疑問符がついたような。
 独特なその問い方に、ドキリと心臓が脈を打つ。さすがにビビった。こうも直球で問われるとは夢にも思ってなかったから。

 別に、隠すつもりはない。

 元々同性愛に偏見はないし、それが悪いことだなんて、もちろん思わない。だから。だから俺は頷いた。

 ゆっくりと、深く、頷いた。

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