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(R18) お嫁さんになりたい!(HQ)

第1章 お嫁さんになりたい!



 大興奮の仮入部初日を終えたあと。

 俺は、学校指定ジャージを着たまま体育館を後にした。思い起こすのは木兎先輩の台詞。


『櫻田! また明日、な!』


 夢見心地とはこの事だ。

 劣情からはじまった興味とはいえ、俺は今や、バレーそのものの虜でもある。それを憧れの先輩に教えてもらえるのだから、喜びも一塩ってもんだろう。

 新たな生活の始まり。
 荒んだ毎日から抜け出して、真面目に青春してみるのもアリかもしんねえな。なんて。

 群青に染まりつつある空を見上げて、そう思ったんだ。




「櫻田」




 耳に飛びこんだ声。
 それはあまりに唐突で。

 高いようで、低いような。中性的な印象を受ける赤葦先輩の声だった。

 振りかえって、沈黙。

 先輩はほぼ無表情で俺を見ている。その顔に感情は見てとれない。一体、なにを考えているのだろうか。

 ググ、と眉間に皺を寄せて、本能的にメンチをきった。赤葦先輩は怯まない。怯まないどころか、小さく笑みすら浮かべて、言うのだ。


「ちょっと顔貸してくれる?」


 事件はこうして起きた。

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