第1章 お嫁さんになりたい!
それ以来、俺は先輩の虜だった。
要するに骨抜きだ。
この感覚はあれに似てる。子供が戦隊モノのヒーローに憧れる、羨望。俺の想いはまさにこれだった。
しかし、それは長くは続かない。
「木兎さん、サポーターずれてますよ」
「またかよ……これ、もう買替えだな」
木兎先輩が悪いのだ。
あんな風に、エロい太股をチラチラ見せつけてくるから。劣情を催すなってほうがどうかしてる。
ストレッチをするとき。
スパイクを打ったとき。
ガッツポーズするとき。
ありとあらゆるタイミングで見えるのだ。その、艶かしい絶対領域が。ちなみに今日だけで12チラを観測している。
木兎先輩は肌が白い。
あの髪色と虹彩から察するに、北欧系のハーフ。もしくはロシアだ。クォーターでもいい。ともかくその肌は雪原のように白いのだ。
室内系の部活動ということもあって、日焼けはほぼしていない。加えて太股は日の当たりにくい部位だ。
透きとおるような肌。
ハリと艶のある太股。
それが幾度となく、サポーターとユニフォームパンツの間で隠れんぼしているのだから、俺の、俺が、毎日大惨事である。