第1章 お嫁さんになりたい!
思わずキス顔になっていた。
無意識だ。無意識。
ミスター梟谷といっても過言ではないほど、顔面偏差値高めな赤葦先輩に迫られてる( )のだ。キス顔のひとつやふたつしたくなるってもんだろう。
「……え、何、気持ち悪い」
ドン引かれた。
超、ドン引きである。
コート外では滅多に感情を露わにしない赤葦先輩がだ。俺の前では怒ったり、イライラしたり、更にはこうして蔑みの表情まで浮かべている。
まるで汚いモノ。例えば、そう、生ゴミを見るかのような冷眼で俺を見ているのだ。
(そんな、そんな目で見られたら、俺……スゲエ興奮するじゃないスかあああ──……!)
プリーズ蔑視モア!
そう叫びたい衝動を必死に抑えこむ。抑えこんだつもりだった。しかし、僅かに残された理性はショート寸前。
その証拠に、俺の俺は超俺になって存在を主張している。もうスゲエ苦しい。パンパンだ。
膨れあがった煩悩がバレないように、ヘッピリ腰で太股をモジモジさせる。それを、赤葦先輩は見逃さなかった。