第7章 戸惑う心
「多くの重傷患者に対し医師はたったの2人だったから。
ガラにもなく動揺してた。
なんか変なんだ、まるで自分じゃないみたい」
自嘲気味に笑う。
「…確かに神那ちゃんらしくないね。
自分の気持ちペラペラ喋っちゃって」
「自分でもそう思う」
以前よりも口が軽くなった、と。
どうしてなのかは分からない。
精神(ココロ)が弱いからなのか、はたまた別の原因があるのか。
良いことなのか、悪いことなのかも。
全てが分からない。
「迷ってばかりなんだ。
醜いぐらい迷って戸惑ってる。
バカみたい」
溜まった自分自身に対する不安や怒りを神崎にぶつける。
こんなことをしても何にもならないのに。
「別に良いんじゃないかな?迷ったって。
神那ちゃんにとってここが分岐点になると思うよ、きっとね」
そこにはいつものおチャラけた神崎の姿はなく、信頼する医者としての神崎の姿があった。