第5章 機械と呼ばれる理由
「神崎らしい曖昧な答えだね」
フッと鼻で小さく笑う神那ちゃん。
他の人にそれをされたら気分が悪くなるんだけど、神那ちゃんはやっぱり別だね。
こういった笑い方でも可愛い。
神那ちゃんは腕があるから上からものを言われても角が立たない。
言い方はどうあれ、決して間違ったことは言っていない。
まぁ、普通に笑う方がきっと可愛いんだろうけどね。
神那ちゃんが素直に笑える日が来ると良いな。
「わはは、そうだね」
僕らしい、か。
確かにそうかもしれないね。
「でもね、分かってるとは思うけど神那ちゃんにだって心はあるからね」
「言われなくても分かってる」
どう頑張っても人として生きている限りは感情をなくすことは出来ない。
外科医として生きていくと決めても尚、完全に感情を殺すことは不可能だ。
ふとした時に出て来る時がある。
でもその感情を制御出来なくては外科医として半人前、現場に出ることは出来ない。