第11章 救命の世界に奇跡はない
フェローがヘリに同乗することが決定してから数刻後。
ピコンピコン。
というけたましい音と共に病室を表示しているモニターが赤く光った。
「心停止か…行って来る」
モニターで部屋番号を確認し、病室へと向かう。
「俺も行きますっ」
フェローと並んでその病室へ入ると。
「あれ?ここって…」
見覚えのある道、病室に首を捻るフェロー。
「先生っ、瑠璃ちゃんがっ…」
ドアを開けると共に血相を変えた看護師の1人が声を上げた。
「分かってる、その為に来たから。
AED持って来て」
「はいっ」
「ど、どうして…」
瑠璃の姿を見て戸惑いを隠せない、といった表情をしているフェロー。
「狼狽えないで、見苦しい」