第9章 医療現場に差別あり
「神那さん、相変わらず女性蔑視の考えに敏感やなぁ」
小さくなっていく神那の後ろ姿を見つめる藤代。
「まぁね、仕方がないよ」
「女性で外科医ってやっぱり珍しいことなんですか?」
「まー、珍しいには変わりあらへんな。
珍しいし誹謗の対象になってる」
「え?」
「さっき神那さんが言うてたやろ?
女性だから、女性なのに、女性の癖に。
全部ホンマに言われてるんやで、他でもない男から」
「勿論神那ちゃんも例外じゃないの」
「そうなんですか?」
「外科医って血を見たり、切開・切断することが多いでしょ?
まぁ、それが主流なんだけど。
そんなのに耐えられるなんて図太い、とか。
ミスしたらやっぱり女性に外科医なんて無理、とか。
女を捨てたとか色々言われるの」
知らなかった。
命を扱う医療現場にそんな差別があったなんて。
「まぁ、神那ちゃんはそんなの全く気にしてなかったけどね」
「神那さんは強いからなぁ、ココロが。
経験も豊富やし技術も確か。
一緒に居るとホンマに勉強になる」