第9章 医療現場に差別あり
「多くの患者はわずかでも成功率の互い手術を求める傾向があるんだよ。
だから執刀医が女性の場合、体力を懸念する声が少なからず存在するの」
そこで区切る神崎。
「実際にそれらの生理学的不利が指摘され、女性が外科医の道を諦めざるを得ない状況になっている。
そしていつの間にか高くて分厚い暗黙の通例が立てられ、女性が一生涯外科医として活躍しにくい現状になった」
神崎の言葉に次いで、まるでそこにある文章でも読み上げるように機械的な声で話す神那。
「でも女性だからって…」
「女性だから、女性なのに、女性の癖に。
そんな言葉はもう聞き飽きた。
私一旦戻ってシャワー浴びて来る。
何かあったら呼んで」
「はいはーい」
紙コップをゴミ箱に放り込むと、キビキビした動きでステーションを去って行く。