第8章 助かる、助からない
「…もういい、私がやる。
君はそのまま心マ続けてて」
口を閉ざしたまま目を泳がせている隊員に痺れを切らし、指示を出す。
「チャージ完了…離れて」
通電を避ける為、全員離れて貰う。
「ショック!」
1回目のショックを終えたが音は変わらず鳴っている。
「すぐ心マ!
20ジュールでチャージ」
声に出さないと周りに状況を伝えることが困難な為、行動ごとに声に出す。
「離れて…ショック!」
電気が体内に走り、患者の身体がドクンッと震える。
けれども効果は見られない。
「30ジュールでチャージ…離れて」
これが最後になる。
「ショック!」
…ピーーーッ。
ショック後も鳴り止むことのない一定の機械音。
「もう止めて」
心マを施そうとする隊員を患者から退かせ、モニターの電源を落とす。
ライトで瞳孔を確認し、ポケットに入れてある時計で時間を見て静かに告げる。
「…午後13時10分、死亡確認」
懸命の措置も虚しく患者の命は失われた。