第8章 【五月晴れの正しい使い方日和】青峰大輝
「何ここ、すっごい爽快感!!」
私の文句を言いたそうにしている青峰くんに構わずに、身を乗り出し遠くを眺める。
邪魔するものが何もない空は尚更大きくて、空、近い・・・思わずそう溜め息が溢れた。
おい、そうイラッとしたような青峰くんだったけど、私の自由人ぶりに呆れたのか、ったく・・・、そう何かブツブツ言いながら、再度後頭部で腕を組んで横になった。
「ほーんと、ずるいよねぇ・・・、青峰くん、独り占めしてるんだもんなー、こーんな気持ちいいところ!」
立ったら、空、もっと近くなるかな・・・?そんな好奇心から、よしっ!と立ち上がると、ますます近くなった空と、さらに高くなった眺めに、良い眺め~♪、そう声を弾ませて額に手を当てて遠くまで仰ぎみる。
「・・・確かに良い眺めだわ。」
まぁ、もう少しスケスケの方が・・・、そう足元から聞こえてきたその声に、え・・・?っと思って視線を落とすと、足元からスカートの中を覗き見る青峰くんの姿が目に入り、何やってんのよ?そうナワナワと身体を震わせる。
「このアホ峰のエロ峰!!」
そう叫んでそのお腹にグーパンチを繰り出すと、見事に手のひらで受け止められ、むーっと頬を膨らませて、すぐさまもう一方の手で次のパンチを繰り出す。
だけど、それもあっさり受け止められてしまい、・・・なかなかやるわね、そうその余裕綽々の顔を睨みつけた。
「いーだろ?別に減るもんじゃねーし。」
「減る!希少価値が下がるっ!」
お嫁にいけなくなったらどうしてくれんのよ!なんて頬を膨らませると、知るかよっ、そう青峰くんはニヤリと笑い、それからそんなやりとりがなんか可笑しくて、あははと声を出して笑った。
「はぁ・・・、ほーんと気持ちいいよねぇ・・・」
「おい、なんでテメェまで横になんだよ?」
「ま、いいじゃない、細かいことは気にしないの!」
青峰くんの隣に横になって空を仰ぐと、五月の青い空が眩しくて目を細める。
これぞ、五月晴れの正しい使い方だよね、なんて、この素晴らしい青空を授業をサボる言い訳にした。