第8章 【五月晴れの正しい使い方日和】青峰大輝
「はぁ・・・ほんと、大きな空・・・」
大きな青い空を見ていると、なんとかクラスの女の子達と上手くやろうと、周りに足並みをそろえて、自分らしさをすべて押し殺している自分が、凄くちっぽけでつまらない人間に思えてくる。
ね、青峰くん、聞いてくれる・・・?、そうちょっと声のトーンを落として言う私に、ウゼェ、そうまた面倒くさそうに青峰くんは答える。
そんな彼に構わずに、んじゃ、独り言ね・・・、そう言って、そのまま話を続けると、おい、そう青峰くんはまた鬱陶しそうな顔をした。
「私さ・・・本当は女の子たちの団結力っていうの?みんな同じじゃないといけないの、苦手なんだ・・・
トイレなんてひとりでゆっくり行きたいし、良いと思ってもないものは誉めたくないし、永遠と続く中身のない会話なんて時間の無駄としか思えないし・・・
でもさ・・・、やっぱみんなと足並みそろえないと色々ある訳よ・・・くだらないんだけどさ・・・」
そんな私のウザイ独り言を、迷惑そうにしながらも、青峰くんは黙って聞いてくれるから、そんな彼の優しさに少しだけ涙がにじんだ・・・
「・・・本当、くだんねぇわ。」
「え・・・?」
私の長い独り言の後、そう沈黙を破って青峰くんが呟いたから、驚いてその顔をのぞき込むと、彼は空から私に視線を移し、またすぐ空へと戻した。
「他人にどう思われようがカンケーねぇよ、オレはオレだ。」
「・・・う、ん・・・」
「今のお前が本当のお前なら、なんもそうしてりゃいいんじゃねーの?」
今のお前、すげーいい目してんぜ、そうまた私を見て言った青峰くんのその言葉は、なぜか私の心の中心まですっと響いて、一気に胸のモヤモヤを晴らしていく。
「そうだよね・・・私は私、だよね・・・」
五月晴れのように晴れ渡った心で空を見上げる。
相変わらず大きな空に包まれながら、空って青峰くんみたいだね、そうポツリと呟く。
ああ?なんて訝しげに私をみた彼に、大・・・輝・・・そうゆっくりと名前を呼んで笑った。