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キミ日和

第6章 【蕾が開く頃日和】幸村精市




「はーーー、もう、信じられないっ!」


一時間目も終わりに近づいた頃になると、部室には私の盛大なため息と、精市に対する抗議の声が響いていた。


精市の誕生日をうっかり忘れてしまい、よりによって精市が植えた花を盗んで・・・もとい、借りて誤魔化そうとした代償は大きかった。


私の抵抗もむなしく、結局、魔王の手からは逃れられなくて、とうとう守り通していた女の操を精市に奪われてしまった。


身体は痛くてバラバラになりそうだし、初めてなのに強制だし、しかもこんな部室でだし・・・


「もう!私の夢や憧れはどうしてくれるのよ!」


そうポカポカと精市を叩きながら抗議する私に、怒った璃音も可愛いね、なんて精市はどこまでも余裕な笑みを浮かべる。


「はぁ・・・さようなら、私のバージン・・・」


ロストバージン、16の春・・・なんてブツブツ言いながらトオイメをしていると、精市はそんな私の身体を優しく包み込む。


「フフ、いいじゃないか、例えどこだろうと、相手が俺なら何も問題ないよね?」


それはそうだけど!
そりゃ、私だっていつかは精市とって思っていたけど!


だけど、それがまさかこんなに急に、こんな形で失うなんて・・・


でもこうやって、精市の腕の中にすっぽりと包み込まれると心地良くて、乱れてはだけたYシャツから覗く胸元にドキドキして、最高に幸せな気分だよ?なんて囁かれるとやっぱり私も幸せで・・・


「一生に一度しかあげれないプレゼントだったんだから、大切にしなさいよね・・・!」


そう言って熱く火照る頬を膨らませると、もちろん大切にするよ、なんて精市は優しく微笑んで甘いキスをしてくれる。


悔しいなぁ・・・精市は余裕綽々でさ・・・
いつも私だけいっぱいいっぱいで・・・


そうむーっと唇を尖らせてふてくされると、ちょうど一時間目の終わりを告げるチャイムが響き渡り、ハッとして顔を上げた。

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