第5章 【溶けかけの雪だるま日和】夏目貴志
「「なーつめー!」」
「夏目くーん、何?、その凄い雪像!」
遠くから大きく手を振って駆け寄ってくる、今のかけがえのない仲間達に笑顔を返す。
雪合戦しようぜ!そう声をハモらせる北本と西村に、あんた達子どもねー、そう笹田が呆れた声を上げる。
「何だよ、夏目なんかひとりでこんなでっかい雪像作って遊んでたんだぜ?」
「夏目くんは特別よ。」
そんな3人のやりとりを、いや、これは・・・先生が、そう苦笑いすると、ポンタか、凄いな・・・そう田村が感嘆の表情で雪像を眺め、キャー、ネコちゃーん!そう多軌がニャンコ先生を抱きしめ撫で回す。
そんなみんな様子を目を細めて眺めながら、今の幸せをそっと噛みしめる。
璃音さん、俺、また幸せな場所を見つけたよ・・・
でもここにキミがいてくれたら、どんなに良かっただろう・・・そう思わずにいられなくて、そっと痛む胸を抑える。
彼女の住む遠い街の方向を確かめ空を仰ぐと、頬を一滴の涙が流れ落ちた。
椿神様・・・どうか璃音さんが
いつまでも幸せでありますように―――
【溶けかけの雪だるま日和】夏目貴志
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