第4章 【ウイルス日和】黄瀬涼太
・・・冷たい・・・
身体は熱くて高熱が出ているのが分かるのに、額だけがひんやりとする。
どうして・・・?そう不思議に思って目を開けると、そこに見えたのは心配そうに私を見下ろす涼太。
夢・・・?
涼太が私の額に手をあててる・・・
普段は温かい涼太の手、冷たくてキモチイイ・・・
「起こしちゃったッスね・・・璃音っち、凄い熱ッスよ?」
ボーッとする私を額の冷たさと涼太の笑顔が現実に引き戻す。
どうして?そう慌てて起き上がるも、身体が動かずにすぐにグテッとなる。
「ダメッスよ!ちゃんと寝てなきゃ。」
そう私の身体をベッドへと寝かせてくれる涼太は、来てみて正解ッスね、嫌な予感がしたんス、そう言って私の髪を優しく撫でる。
久しぶりの熱に内心、心細さと不安とでいっぱいだったから、思いがけない涼太の登場にホッとして涙がにじむ。
「涼太の手、冷たくてキモチイイ・・・」
「そうッスか?こんなんで良けりゃいくらでも堪能して欲しいッス。」
そう言って髪から私の頬に触れた涼太の手にそっと自分の手を添えて頬ずりする。
それからハッと我に返って、慌てて自分の口を両手で覆うと、ダメ!そう声をあげる。
私のその様子にキョトンとした顔をする涼太は、まだキスしようとしてないッスよ?なんてとぼけたこと言い出すから、違います!そう頬を膨らませる。
「涼太にうつしちゃうから、知らせたくなかったのに・・・」
そう言って布団を鼻まで被って、早く帰ってなんて言ったものだから、俯いてしまった涼太に心が痛む。
泣かせちゃった・・・?でもコレも涼太のためだもの、そう思って心を鬼にする。
「璃音っち、こんな時くらい甘えて欲しいッスよ?」
そう言って顔を上げた涼太はバスケやモデルの時のような真剣な目をしていて、私と一緒にいるときの彼はいつも大きな身体の癖に小犬みたいだから、その真剣な目に見つめられて、ドクンと大きく心臓が跳ねた。