第1章 聖なる夜?
あと少しで日付変更線を越えてしまう。
仕事が終わって急いで彼女の家に向かいたいのに
「ねぇ、まだ?」
「えっとー、玉森はー、……明日は1時に迎えに行くから」
「わかった。じゃ、俺先に帰るわ」
「え?タクシーで帰るの?」
「うん、友達と約束あんの、おつかれ!!」
「おつかれさまー。あんまり飲まないでね」
「わかってるー」
答えながら俺はもうマネージャーに背中を向けて扉を開けていた。
タクシーに乗って彼女の家まで急いでいっても多分、今日中にはつかない。
25日になっちゃう。
スマホをポッケから取り出して見たら11:44って時間が目に入った。
「あぁ、やっぱ無理か」
つい、声に出ていた。
「運転手さん、どれぐらいで着きますか?」
「そうですねぇ。混んでなければ40分くらいじゃないですかね?」
「そうですかぁ」
大きなため息をついた。
仕方なく彼女に謝りの電話を入れたら。
怒られると思ったけど、案外あっさりしてて、拍子抜けした。
初めて二人でクリスマスを過ごすことを楽しみにしてるのは俺だけなのかな?