第8章 お酒の味
状況について行けず、体が固まってしまう。
「シュリは、俺のこと好き…?」
甘い声で問われ、私は小さく呟いた。
「…好き、だよ。」
「俺の好きとシュリの好きは一緒…?」
「た、多分…?」
私の好きは、恋愛感情の"好き"だ。
キスをしてきたということは、恐らく直人の"好き"も同じだろう。
直人はいつもの笑顔を浮かべた。
「シュリのこと、ずっと好きだったんだ。」
満面の笑みでそう言われ、嬉しさと恥ずかしさが入り交じった。
「私も直人のこと…好きだったよ。」
「俺達両思いだったんだね。」
「そうだね。」
直人はもう一度私を抱きしめた。
私も直人の背中に腕を回す。
何故か一瞬、徹の顔が頭に浮かんだ。
…関係ない。
私が好きなのは直人なのだから。
「シュリ、今日一緒に寝よ。」
「え?う、うん…いいよ。」
直人はそのままベッド横になった。