第7章 写真部
「エミリ、久しぶり。最近どう?」
「特に変わったことはないよ。」
素っ気ない返事。
エミリはまだ、人に心を開けないようだ。
「何かあったらいつでもお姉ちゃんの携帯に電話してね。」
「うん、ありがと。お母さんにかわるね。」
エミリは早々に会話を終わらせ、母とかわった。
「エミリ元気ないね。」
「あの子が何を考えてるかわからない…もう好きにさせとくわ。」
母は深い溜め息をついた。
「あまりさ、エミリのこと責めるような事とか言っちゃダメだよ?」
「わかってるわよ。シュリ、あんたはまともに育ってくれて本当に良かったわ。」
まるで、エミリはまともに育たなかったと言ってるみたいだ。
「お母さん、エミリの前で絶対にそういうこと言わないで。エミリが苛めにあってどれだけ辛い思いしたか知ってるでしょ?」
「知ってるけど…今時苛めなんてよくある話じゃない。」
「お母さん全然わかってないよ!」
母親の発言とは思えず、私もついムキになってしまった。
その後母と少し言い合いになり、私から電話を切った。
スマホをベッドに放り投げ、項垂れる。
エミリの事が心配だった。
私が上京したのも良くなかったのかもしれない。
地元の心理学部に進学して、家を出なければ良かった。
今更後悔しても遅いのだが…。
久しぶりに電話をしたのに、後味の悪い終わり方になってしまった。