第7章 写真部
休み明けの月曜日。
朝、徹は私を見た瞬間目を丸くさせた。
「お前、シュリ?」
「そうですけど…何か?」
「いや…髪、似合ってんじゃん。一瞬誰かと思ったわ。」
「…ありがとう。」
この前の告白の事を意識してるのは私だけなのだろうか…。
いつも通り徹と登校し、校門の前で七瀬と合流した。
「徹、機嫌直ったみたいね。」
「うっせーよ。」
七瀬は豪快に笑った。
徹の毒舌も、七瀬の前では意味を成さない。
「ねぇ、今日写真部に入部届け出しに行こうよ。」
「あ、そうだね!」
七瀬に言われて思い出した。
そう言えば、まだ写真部に入部届けを出していなかった。
そろそろアルバイトも決めなくてはいけない。
朝から気が重くなった。
「どこか良いバイト先無いかなー。」
「シュリバイトするの?」
七瀬に言われて、小さく頷いた。
「親には最低限の仕送りしか出来ないって言われてるからさー。高校の時にバイトで貯めたお金も微々たるものだし…。」
「そっかぁ…私もバイトしてみたいなぁ。」
「七瀬はバイトしないの?」
「親に、就職するまでは働くの禁止されてるんだ。」
流石お嬢様だ。
「あのさぁ、お前と騒いで追い出されたカフェあったじゃん?」
徹の言葉には語弊があったが、そこは黙っておいた。
「うん、あそこね。あれから行ってないけど。」
「俺、気に入って何気にちょくちょく行っててマスターと仲良くなったんだよ。」
あんな騒ぎを起こしておいて常連になるなんて…勇者かお前は。
「それで?」
「ここでバイトしない?って言われて。二人くらい欲しいんだってさ。お前も一緒に働かない?」
あのお店の雰囲気…レトロな感じで凄く好きだけど…。
「時給1000円だって。シフトも大学に支障が出ないように融通利かせてくれるってよ?」
「時給1000円!?」
この辺りでは良すぎるくらいの賃金だ。
そんなに儲かってるのかあのお店…。
時給1000円という金額が私を誘惑する。
だけど、徹と同じバイト先…。
二つを天秤にかけるが、すぐに答えは出なかった。
「んー、考えとく。」
その日の授業が終わると、私達は写真部に入部届けを出しに行った。
その足で、写真部の部室へ向かった。
「失礼しまーす。」
部室に入ると、一斉に視線が集まった。