第6章 直人の素顔
翌日、七瀬に会った瞬間私は泣きついた。
「七瀬ぇー!!」
「ど、どうした?」
七瀬に昨日の出来事を話すと、大笑いされた。
「やっぱり徹はシュリのこと好きだったかー!」
「何で教えてくれなかったのー!」
「いやいや、あたしの口から言うことじゃないでしょ。それにしても徹のその宣言いいねー徹らしいわー。」
「ホントに、笑い事じゃないんだから!」
七瀬は私の頭をポンポンと撫でた。
「まぁ、どっちを選ぶもシュリの自由じゃない。」
「選ぶも何も、直人は私のことどう思ってるか解らないし…。」
「んー、そうかぁ…ま、とりあえず美容室行こうよ。」
「うん、そうだね!」
今まで恋愛とは無縁だった私は考え出したら頭がオーバーヒートしてしまいそうなので、それ以上考えるのはやめた。
美容室に入ると、良い香りがした。
美容室独特の香りだ。
受付にいた男性が笑顔で迎えてくれた。
「いらっしゃいませ!七瀬ちゃん久しぶりだねー。」
「こんにちは相川(アイカワ)さん。」
男性の名前は相川さんというらしい。
「そちらがモデルになってくれるお友達かな?」
「あ、はい。明智です、よろしくお願いします。」
「相川です、今日は僕が担当させて頂きますね。よろしくお願いします。」
爽やかな笑顔の相川さん。
感じの良い人で良かった。
「どんな感じにしたいとかありますか?」
「私髪染めるの初めてで…どんな色が似合うか解らなくて。」
「じゃあカタログ持ってくるから、七瀬ちゃんと選んでみたらどうかな?」
「そうします。」
私と七瀬は受付前の小さなソファーに座って、相川さんが持って来てくれたカタログを開いた。