• テキストサイズ

薔薇と向日葵

第2章 出会いの春


まずは、右隣の住人に挨拶をしに行った。
粗品のタオルを持って。

チャイムを鳴らしてしばし待つと、男の人が出てきた。

色白でスタイルが良く、顔立ちも整っているが目付きが悪い。

その人は大きな目で私を見下すように見てきた。

「なに?」

「あ、あの!隣に引っ越してきた明智と申します。よろしくお願いします。」

「あー…だから朝から煩かったのか。」

確かに午前中は荷物を運んだりして煩かったとは思うが、わざわざ口に出さなくても…。

「お騒がせしてすみません…あの、これつまらない物ですが…。」

タオルを渡し、そそくさと帰ろうとすると男の人に肩を掴まれた。

「え…なんですか?」

「ここ、壁薄いから煩くするなよ。」

初対面にも関わらず敬語も使わずに、若干上から目線な口調で言われ、呆気に取られた。

「あ…はい。気を付けます…。」

それを聞いて満足したのか、男の人は玄関のドアを閉めた。

なんと言うか、あまり関わりたくないタイプだ…。

ふと表札を見ると"羽山"と書いてあった。

羽山さん、か…。

とりあえず名前だけは覚えておこう。

次は左隣りの部屋へ伺った。
/ 280ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp