第4章 大学入学
「直人も食べて。ほら。」
フォークで一口分のチョコレートケーキを取り、直人の口元に運ぶ。
直人はそれを食べると、甘い…と呟いた。
「直人、ホントは甘いの苦手?」
「いや、そんなことないよ!」
明らかに動揺している。
直人は嘘がつけないタイプのようだ。
「無理しなくていいよ…?」
「いや、大丈夫。ホントに!」
ここは直人の優しさに素直に甘えることにした。
ケーキを食べながら、大学生活の話になった。
「これから4年間頑張れよー。」
「うん、夢もあるし頑張るんだ!」
「シュリの夢ってなに?」
「えっとね、心理カウンセラーになりたいんだ。」
「心理カウンセラー?凄いじゃん。」
直人は真剣な顔で話を聞いてくれた。
私は直人に、誰にも話した事が無い話をした。
「私ね、妹がいるんだけど…学校でいじめにあってから引きこもりがちになっちゃって。妹の気持ちに少しでも寄り添えるように、妹みたいな子達の力になりたくて…それで心理カウンセラーになろうと思ったんだ。」
直人はなるほどな…と呟き、そして優しく笑った。
「シュリは優しいな。シュリなら沢山の人の気持ちに寄り添えるよ。」
「そうかな?」
「うん、絶対に。妹さんも大丈夫。こんなに想ってくれる姉ちゃんがいるんだからさ。」
その言葉で、不覚にも泣きそうになってしまった。