第21章 すれ違う心
翌日、昼食が終わった頃、病室のドアがノックされた。
「どうぞー。」
誰だろう…と思いながら返事をすると、予想外の人物がドアを開けた。
「シュリ…。」
車椅子に座った徹がそこにいた。
「徹…!!」
徹は不慣れな様子で車椅子を動かし、ベッドの近くに来た。
「シュリ、遅くなってごめん。」
いつもの徹だった。
「ホントだよ…ずっとずっと、待ってたんだよ。」
私は徹に手を伸ばした。
徹も同じように私に手を伸ばす。
久しぶりの徹の温もり。
少し細くなった体が、数ヶ月間眠り続けていたことを物語っていた。
「ていうか、動いて大丈夫なの?」
「筋力落ちてるからまだ車椅子じゃないと動けないけど、大丈夫。つか夏だったのに起きたら冬になってたからタイムスリップした気分。」
「なにバカなこと言ってるのよ!」
笑いながら、涙が溢れた。
「そんな泣くなよ。」
「泣いてない。」
「思いっきり泣いてるじゃん。」
徹は笑いながら指で私の涙を拭った。