第19章 徹と涼
「そうだけど、何かー?」
「性別間違えて生まれて来たんじゃねぇの?」
「徹君って、イケメンのくせに性格悪いね。男がデザートバイキングとか可愛い雑貨屋とか行っちゃいけないわけ?」
「いや?別に。」
徹は完全に涼のことを馬鹿にしていた。
それを感じたのか、涼はその大きな目で徹を睨み付ける…が、全然怖くない。
「涼…全然怖くないよ。むしろ可愛い。」
私がそう言うと、涼は徹から視線をそらした。
「それにしても…シュリが白血病なんて信じられないよ。治るんだよね?」
その問いに、即答することは出来なかった。
苦笑いをすると、涼は更に心配そうな顔をした。
「僕、白血病ってよく分からないけど…その、死んじゃったりしないよね?」
涼はエミリと同じで、自分にも他人にも素直な性格だ。
だから、他の人が絶対に口にしない"死"という言葉も平気で言ってしまったのだろう。
すると、徹が涼を睨み付けた。
「お前、少し黙れよ。」
徹の物凄い気迫に圧倒された涼は俯いてしまった。
「ごめんね…僕、無神経なこと言っちゃったかな…。」
「いいんだよ、涼。気にしないで?大丈夫。私死んだりしないから。」
そう言って笑ってみせると、涼の顔が少し明るくなった。