第17章 50%の約束
最後に、徹が言った。
「シュリ。約束、守れよ。」
「なに?約束って。」
七瀬にそう聞かれたが、今はまだ二人だけの秘密にしておきたかった。
「秘密。戻って来たら教えるよ!」
私は徹を見つめた。
「絶対に約束守るから、徹も浮気しないでよ!」
「しねぇよ。シュリ…。」
徹はみんなが見ているにも関わらず、私を抱きしめた。
そして、私にだけ聞こえる声で耳元で囁いた。
その言葉を聞いた瞬間、顔が熱くなった。
「シュリ、そろそろ行くわよ。」
母にそう言われ、名残惜しかったが徹から離れた。
みんなに見送られ、私は長野へ帰った。
徹が最後に囁いた言葉。
「愛してる。」
今まで好きだ、と言われたことはあったが、その言葉を言われたのは初めてだった。
絶対に、元気になって帰ってくる。
強く強く、そう誓った。
これから、病との闘いが始まる―――