第16章 発覚
徹に手を引かれ、私は徹の部屋に入った。
「シュリ、とりあえず実家に電話しろ。」
徹の声は聞こえているのに、返事が出来ない。
「シュリ…まだ白血病って決まった訳じゃねぇんだから。それに、例えそうだとしても治療が上手く行けば助かる病気なんだよ。」
「…徹は、いつから私が白血病かもしれないって思ってたの?」
「…お前が熱出した辺りから。」
「そっか…だから病院に行くように言ってくれたんだね。」
私は鞄からスマホを出した。
「お母さんに…電話しなきゃ…。」
電話をかけようとするが、手が震えて上手く操作が出来ない。
徹が私からスマホを取り、実家に電話をかけてくれた。
「ほら、大丈夫か?自分で話せるか?」
「大丈夫…。」
徹からスマホを受け取り、耳に当てた。
何回目かのコールで母が電話に出た。
「もしもし?」
「あ、お母さん…?」
「シュリ?どうしたの?」
「あ、あのね…えっと…。」
母の声を聞いた瞬間、涙が溢れた。
「シュリ?泣いてるの?どうしたの?」
話したいが、どうやって話せばいいか分からなかった。
ただひたすら泣いている私に、電話の向こうの母も戸惑っている。
すると、徹が私からスマホを取った。
「もしもし。シュリさんのお母さんですか?突然すみません。シュリさんの友達の羽山と申します。」
徹が、最初に症状が出た話から今日の検査結果のこと、骨髄検査が必要なこと、全て丁寧に説明してくれた。
「…はい、シュリさんに代わります。」
徹がスマホを私に差し出した。
「お母さんが、お前に代わってくれって。」
「…うん。」
なんとか落ち着きを取り戻した私は、スマホを受け取った。
「…お母さん…。」
「シュリ?お友達から話は聞いたわ。骨髄検査はお母さんと一緒に行きましょう?お母さん、そっちに行くから。」
「来てくれるの…?」
「当たり前でしょう。今日お父さんが帰って来たら話して、明日朝一の新幹線で行くから。お友達も言ってたけど…まだ白血病って決まった訳じゃないんだから。大丈夫。大丈夫よ。」
母はいつもの毅然とした口調でそう言った。