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薔薇と向日葵

第15章 初恋にさようなら


「なに食べたい?」

徹にそう聞かれ、思考を巡らす。

「あ、前に徹と行った和食のレストランに行きたい!」

「じゃあそこ行くか。」

私達はそのレストランへ向かった。

お昼時のせいか、少し混んでいた。

私達の前に二組、待っている人がいる。

「少し待つみたいだけど…徹、大丈夫?」

「うん。大丈夫。」

私達は店内の待ち合い室で順番を待った。

待ち合い室には一組の老夫婦と子どもを連れた女性がいた。

子どもの一人はまだ赤ちゃんで、ベビーカーで気持ち良さそうに寝ている。
もう一人、5歳くらいの男の子が私の目の前でロボットの人形で遊びながら暇を潰していた。

ふと、男の子が転びそうになり、私は咄嗟に男の子を支えた。

男の子の持っている人形が私の膝に当たった。

然程気にせず、男の子の頭を撫でた。

「大丈夫?」

「すみません!コラ、お姉さんに謝りなさい!」

母親に叱られ、男の子が半泣き状態でごめんなさいと呟いた。

「大丈夫だよ。」

そう言って笑うと、男の子の母親も申し訳なさそうに頭を下げて男の子を自分の膝の上に座らせた。

「小さい子は可愛いなぁ。」

「お前、膝…。」

徹に言われて膝を見ると、男の子の人形が当たった場所に大きな痣が出来ていた。

「え…なにこれ。ちょっと当たっただけなのに…。」

不思議に思いながら膝を擦った。
思えばこの前も、知らない内に腕に痣が出来ていた。

「なんか私の体変なのかなー?」

冗談混じりにそう言って徹を見ると、暗い顔をしていた。

「徹?」

「あ、いや…なんでもない。」

徹の様子がおかしい事に気付いてはいたが、その理由は解らなかった。

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