第14章 兆候
翌日、私は直人の部屋を訪れた。
みんなはああいう風に言ったものの、やはり誤解を生んでいるかもしれないと思ったからだ。
チャイムを押すと、部屋着姿の直人が出てきた。
「おはよう直人。」
「おはよう。どうしたの?」
「ちょっと話があるんだけど…いいかな?」
「いいよ、入って。」
ここ数日の違和感はなくなり、いつもの直人に戻っていた。
直人の部屋は相変わらず汚かった。
「ごめん汚くて…片付けてもすぐ汚しちゃってさ。」
直人は申し訳なさそうに笑いながら散らばった服を拾って洗濯カゴへ入れた。
「気にしないで。急に来てごめんね。」
私達はお互いに向かい合う形で座った。
「直人、大学祭に来てくれたんだってね。」
「ああ、うん。いきなり行ってごめんな。夜勤前で少し時間があったからさ。」
「ううん。来てくれてありがとう。それで…徹と私の写真見たよね?」
直人は微笑みながら頷いた。
「うん。二人とも似合ってたよ。」
直人は特に気にしている様子はなかったが、一応事情を説明した。