第10章 行方不明の徹
自分で言うのもなんだけど、あたしは人より少し容姿が良いせいで昔から男には好かれ、女には妬まれ嫌われた。
酷いいじめにあった時期もあった。
だけどプライドの高いあたしは親に言えずに、一人で耐えていた。
幼馴染み…後に付き合うことになる彼だけがあたしの味方でいてくれたけど、あたしはずっと女友達が欲しかった。
気を使わず、本音で話せるそんな友達。
ずっとずっと、憧れていた。
大学の入学式でシュリに出会った。ついでに徹にも。
シュリは年齢のわりには心が純粋というか…人を妬むとか、そういう醜い感情とは無縁のような子だった。
あたし達はすぐに仲良くなった。
嬉しかった、本当に。
シュリの前では自然体でいられて、本音で話せる。
嬉しいことも、楽しいことも、悩み事も、一緒に分かち合うことができる。
初めて出来た、本当の友達。
大学を卒業しても、ずっとずっと友達でいたいな、なんて。
柄にもなく思ったりしてさ。
話終えると、やっぱりあたしは泣いていた。
半分は嬉し泣きだ。
「美人だからって特なことばかりじゃないんだねー。」
別所先輩はあくまでも他人事のようにそう言ったけど、この後高級アイスを3個も買ってくれた。