第2章 Birthday(アラン)
「かんぱーい」
グラスがぶつかる音が部屋に響く
「……わ!おいしい!」
「ん。」
プリンセスはニコニコしながらワインに口をつける
「調子に乗ってあんま飲みすぎるなよ」
「ふふふ…大丈夫だよ」
そう言いながらもプリンセスの頬は少し赤らんできたように見える
「今年の誕生日はたくさんの人にお祝いされて本当に嬉しかったなぁ…
いつもは家でひとりで過ごしてたし」
「ひとりで…?」
「うん。いつもだいたい遅くまで仕事だったし
だけど今年はパーティまでしてもらえて…しかもアランといっしょに過ごせて本当に嬉しいよ」
プリンセスが微笑むとアランも目を細めた
「…あ…」
12時をつげる時計の音が響いた
「誕生日終わっちゃった」
プリンセスは苦笑いしながらまたワインを飲み始める
「…」
(来年の誕生日もアランと過ごせたらいいのに…)
言葉にして伝えたい気持ちもあるのに口には出せなかった
私は100日間だけのプリンセスなのだから
100日経ったらお城からも出ていかなければならないし
もちろんアランともこうやって会えなくなる…
胸が苦しくなった