第2章 Birthday(アラン)
グラスを持ったまま俯くプリンセス
アランは椅子から立ち上がりプリンセスの前にやってきた
すると片手を伸ばしプリンセスの頭にデコピンした
「痛っ」
おでこに痛みが走って思わず顔をあげるプリンセス
「なんでそんな泣きそうな顔してんだよ
誕生日終わったのがそんなに悲しいわけ?」
アランは笑いながらプリンセスの顔を覗きこんだ
「アラン…」
ぎゅっとアランに抱きつくプリンセス
アランもプリンセスの身体に手をまわす
「また来年の誕生日もいっしょに過ごせばいいだろ?」
「……っ……」
『来年』という言葉がアランの口から出て思わず涙が零れた
アランは涙を拭うようにプリンセスの目元にキスをする
「泣くなって」
それでも涙は溢れて止まらない
「誕生日ぐらいこれからまた何度でも祝ってやるから泣くなよ」
「…何度…でも…?」
アランはより強くプリンセスを抱きしめ小さな声でつぶやいた
「…来年もその先もってこと…」
……え…?
びっくりして涙が止まった
その…先も……?
抱きしめられた腕の力が弱まるとアランはプリンセスの左手を取り薬指にキスを落とした
プリンセスの頬が真っ赤に染まる
「…泣き止んだ?」
「……アランっ」
プリンセスはアランに抱きついた
今度は先程までとは違う涙が止まらなかった
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