第2章 〜天賦〜
翌朝。
目を覚ますと、翡翠の瞳と目が合った。
「…おはよ」
「…あぁ」
短く言葉を交わすと、冬獅郎が起き上がって、朝食を作ってくれた。
私はそれを側で眺めて勉強していた。
そしたら、色んな情報が頭に書き込まれて倒れそうになった。
少し慌てた冬獅郎に抱き止められて、頭をぶつける事は免れる。
代わりに卵が焦げちゃったけれど。
作り直そうとする冬獅郎を止めて、軽く焦げた卵焼きと、お味噌汁とご飯を食べて。
「行ってくるね」
と声を掛けると、彼がふと何かを思い出したように手招きして。
側に寄ると、首筋にちょこっと噛み付かれた。
「…痛い」
欠片も警戒してなかったから、普通に痛い。
普段なら刀でだって怪我しないのに。
少し涙目で冬獅郎を睨むも、彼は何故か満足そうで。
「いいのか、遅れるぞ」
事の発端のくせに飄々とそんな事を言う。
けれど、白哉を待たせる訳には行かなくて。
私は冬獅郎の部屋を飛び出して、自分の部屋で死覇装に着替えた。
鏡で見ると、予想通り鬱血している首を何と無く髪で隠して、部屋を出る。
昨日送ってくれた時に、白哉の言っていた六番隊の隊舎前まで瞬歩で移動した。