第2章 〜天賦〜
「そっか。もうすぐお昼だね」
時計を見て思い出したのか、玲が独りごちる。
頷いて白哉が長椅子移動したので、玲も彼の隣に移動した。
「…明日は休暇でも取るか」
彼の呟きに、玲が顔を上げる。
「ん?お休みするの?」
「其方も必要な物があるだろう?」
「寝るときの浴衣、白哉の所の使用人さんから貰ったの一枚だけだから、替えは欲しいかな。後、出来れば髪留めも」
「ならば買いに行くか」
「本当?町に行けるの?」
嬉しそうに目を輝かせる玲を、白哉が優しく撫でる。
「あぁ。連れて行ってやろう」
「わぁ、ありがと、白哉」
嬉しさの余り玲が白哉に抱き着いた時、隊主室の扉が開く。
「はぁ…はぁ…隊長、昼飯…あ」
固まった恋次に首を傾げる玲と、絶対零度の視線を飛ばす白哉。
余りの殺気に逃げ出そうとする恋次を、
「縛道の九、撃」
言霊に呼応した赤い光が捕らえる。
「隊長!今の不可抗力…!」
「問答無用。蒼火墜」
番号すら破棄の破道が炸裂する前に、玲は恋次からお弁当を回収して、白哉の元に戻っていた。
「うおおおおぉお!?」
霊圧が極端に上がった彼の破道は、番号破棄でも十分な威力を発揮して。
なんの抵抗も出来ず黒焦げになった恋次に、玲は哀れみの視線を向ける。
「…お昼食べよっか」
「そうだな」
取り敢えずピクピクと痙攣している彼は生きている様なので放置して、昼食を摂る二人。
側から見れば鬼畜と噂されるに違いない光景だった。