第11章 〜予兆〜
「お疲れ様」
「あ、玲ちゃん!」
労いの言葉を掛けながら入った十番隊隊主室で、凄く嬉しそうな表情の桃に飛びつかれて、私は首を傾げた。
「どうしたの?」
とりあえず桃に問うと、きらきらとした笑顔で答えてくれる。
「明日は五番隊に来てくれるんでしょう?!お茶菓子美味しいの用意しとくね!」
成る程。
総隊長は、手が回らない隊に私をたらい回しにするつもりらしい。
今度機会があれば絞めようと心に決めつつ、にっこりと桃に微笑みを向ける。
「うん、ありがとう。楽しみにしてるね」
ふわりと桃の頭を撫でて見送った後、小さく溜息を吐く。
「今日は九番隊の執務整理だったんだろ?こんな時間になるなんて珍しいな」