第10章 〜流転〜
「だから、私は待った。貴方達は必ず尸魂界にやって来ると、信じていたから。でも、貴方達の復讐を、止めることは、出来なかった…」
「もう、良い。バウントは…もう私一人しか残っては居ない」
涙を流して訴える蘭島に同情したのか。
或いは、仮にも生みの親である彼女を責める事が出来なかったのか。
古賀には分からなかったが、口から出たのはそんな言葉だった。
「…そうだね。貴方さえ良ければ、暫く此処にいて頂戴。私は今更瀞霊廷に戻る気も無いからね」
「そうじゃの。最後のバウントの話も聞いてみたいしの」
そんな彼女らの提案を、古賀は頷くことで是を示した。
「そう言えば、四楓院。浄界章は…?」
「貰った位置情報を頼りに確認してきたが、既に何者かに封じられておった」
「そんな事が…?浄界章の数は七十を越える。全ての浄界章の封印など、死神が総出で掛かっても一週間は掛かる」
「そうじゃが…封印紋は四聖獣じゃったからの。安心せい。見当は付いておる」
「四聖獣…。神の紋か」
「あぁ。では、蘭島。後は頼むぞ。儂は確認せねばならんからの」
「あぁ、分かった」
慣れぬ単語に戸惑っていると、四楓院と名乗った女は姿を消した。
確か、瞬歩だったか。
「そう言えば、お前、名前は?」
振り返った蘭島の問いに、私はするりと名を名乗っていた。
「古賀剛だ」