• テキストサイズ

〜泡沫〜《BLEACH》

第1章 〜欠片〜



尸魂界の辺境を、二人の死神が駆けていた。

背に六と十と描かれた白い羽織をはためかせて。


「…ここまで来ても、霊圧なんて欠片も感じねぇぞ。ったく、本当なんだろうな」


体躯の小さな死神が、眉間に皺を寄せて呟く。

隣を駆ける中性的な男が、諌めるような視線を投げた。


「総隊長の指示だ。わざわざ反りの合わぬ隊長格同士を組ませるのだから、余程の事。愚痴は聞かぬ」


「…チッ…」


顔を顰めて舌打ちをする少年は、隣の男を視界に入れぬ様、更に足を速めた。


その時。

ドンッと腹に響くような音。

直後、目的地だった場所から、波紋の様に、凄まじい霊圧が溢れ出した。


「…っく…なんて霊圧だ…っ」


「…っ…成る程な…」


何とか自分達の霊圧を上げて持ち堪える二人。

しかし、尚も上がり続ける霊圧に、彼等の表情は硬い。


「急ぐぞ」


「分かってる」


まるで重力が何十倍にも膨れ上がったかのような、重苦しい空気を押し退けるようにして。

最大限まで霊圧を放出しながら、中心へと急ぐ。

このまま放っておけば、尸魂界全土にまで被害が及びかねない。

それ程の重圧だった。

/ 351ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp